木村眼科クリニック

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院長のコラム


◆白内障手術技量の物差◆  ―後嚢破損ゼロをめざして―


手術の際に合併症を起こさないようにする事は極めて重要です。白内障・人工水晶体手術の合併症のひとつで、比較的軽微で、視機能に影響をおよぼす事の少ないものに後嚢破損があります。医者仲間では後嚢破損率が低いほど手術の技量が優れているとされています。そこで今回は白内障手術における後嚢破損について述べてみたいと思います。

水晶体の内容物は食品包装用ラップのような薄くて脆弱な透明な嚢によって包まれています。手術では前方の嚢(前嚢)を直径5~6ミリの円形に切り取ります。次いで濁った内容物を嚢の中から除去します。除去には超音波乳化吸引装置を使用します。内容物の中心に有る硬い核を超音波により細かく破砕し同時に吸引除去します。吸引と同時に水を注入する装置もついています。常に注入と吸引のバランスがとれるようにコンピューターで制御されています。これにより嚢は常に膨らんだ状態を保つ事が出来ます。そうは言っても超音波発振中にこの装置の先端(注射針の様な形)が嚢に触れたり、嚢の近くに有ると一瞬の内に後嚢を吸引破損させてしまう事があります。特に中心の核が硬くて大きいと超音波発振強度や吸引力を高くしますので後嚢の吸引破損率も高くなります。また角膜に混濁があったり、散瞳不良のため水晶体の視認性が悪いと当然の事ながら盲目的な操作となり後嚢破損率は高くなります。水晶体の厚さは3~4ミリですのでミリの単位で後嚢破損発生の有無が決まる世界です。従って後嚢破損率をゼロにする事は至難のわざですが3%以下が目標とされています。そのために座禅を組むなどの精神統一を重視する医師もおります。

ちなみに私(院長)の最近1年半の後嚢破損率は1152例中8例0.69%でした。



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