木村眼科クリニック

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院長のコラム


◆交通事故による上斜筋麻痺◆  ―頭部打撲が原因のひとつ―


交通外傷で頭部を打撲し脳震盪による意識障害の回復後にめまいと複視が出現し、精密検査の結果、 上斜筋麻痺が発見された患者さんを診る機会が有りましたので御紹介したいと思います。
73才の女性で歩行中ボンネットに跳ね上げられ、意識を失い、頭部打撲、脳震盪、上腕骨骨折で 40日間入院治療の結果軽快退院となりました。しかしその後頑固な複視とめまいが認められ受傷後 70日を経過しても治らないため心配になり当院を受診されました。精密検査の結果左上斜筋麻痺が認められました。 目には左右各6本の筋肉があり、左右の視線が同じ方向となる様に筋肉がバランス良く収縮、進展を繰り返していますが、 上斜筋麻痺が起きるとその目で見る物体は鼻側に傾いたり、上にずれて見えてしまいます。その結果めまい、 複視がおこり歩行困難となります。上斜筋は滑車神経に支配されておりこの神経の麻痺により上斜筋麻痺がおこります。 滑車神経障害は交通外傷時の鈍的頭部外傷の際に出現する事があります。しかし幸いな事にこの方の様な外傷性の 上斜筋麻痺の大部分は受傷後6~12ヶ月のうちに治癒、改善がみられます。その間プリズム入りの特殊な眼鏡の使用により 症状を軽くする事も可能です。一年以上経過しても治らない時には、通院手術により治す事が出来ます。



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