木村眼科クリニック

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院長のコラム


◆眼トキソプラズマ症について◆  ―猫の寄生虫は網膜が大好き―


猫が大好きな一家は五匹の猫を家族同様に『猫かわいがり』して寝食を共にしておりました。 ある時、この家の42才のお父さんの右目の中心が暗くなり見えなくなってきたので当院を受診しました。 視力は0.5まで低下しており、眼底網膜の中心部である黄斑部は炎症と浮腫のために盛り上がり、 黄色に変色した病巣が認められました(下の写真の中央)。猫に寄生するトキソプラズマ原虫による網脈絡膜炎と診断し、 抗体検査を行ったところ高値を示しました。特効薬の内服治療で網膜の病巣は治癒に向かっていますが、 残念ながら視力にとって大事な黄斑部に萎縮変性が残った為に視力は0.1に低下したまま向上しません。
感染経路ですが、猫の糞便中に排出された原虫の卵(嚢胞体)が口、気道、皮膚から入って感染します。 そして大好きな網膜に巣をつくります。早期発見と治療が重要ですが、黄斑部に瘢痕を残す事が多く、 視力快復は期待できませんので恐い病気と言えます。たくさんの猫と仲良くする場合にはトキソプラズマ原虫を念頭におき、 糞の始末、駆虫剤投与など衛生面には十分な配慮が必要です。



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