木村眼科クリニック

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院長のコラム


◆新しい治療法の危険性◆  ―長期成績の確認が重要―


良い成果が得られるはずと考え、最新の手術法や材料を用いて施行された治療成績が、長期に経過観察して行くと、予想外の重篤な合併症が出現し、 不幸な結果に終わる事を稀ならず経験します。
したがって医療に最新の治療を導入する場合には慎重にも慎重を期す必要があります。その一方で、より進歩した効果的治療を期待し、 あるいは最新治療の第一人者をめざして、長期成績を待つ事無しに、いち早く新しい治療法が導入されているのも現実です。
今回網膜剥離手術に使用された新材料が劣化変質し、眼球に重症の合併症を生じた患者さんが来院されました。この患者さんは大学病院で網膜剥離の手術に際して、 それまで一般的に使用されて安全性が確認されていたシリコン材料のバックル(眼球を鉢巻き状に締め付けるスポンジ状の紐)に代わり、 より効果があると期待されて登場したハイドロゲル材料のバックルを使用したところ、12年後に材料の変質、膨潤化を原因として、枕が血で染まるほどの出血や化膿、 眼球変形、眼球運動障害が出現しました。 入院手術でこの材料を除去しましたが、後遺症が残りました。
同様の合併症の患者さんが多数報告され、この材料の危険性が指摘された結果、現在では使用されなくなりました。
私の尊敬する元国際人工レンズ学会会長の言葉『Don't use anything new』をあらためて再認識し『石橋を叩いて渡る医療』を心掛けたいと思います。



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