木村眼科クリニック

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院長のコラム


◆混合診療実質解禁となる◆  ―国民皆保険崩壊の前奏曲―


先日急激な視力低下を訴えて若い男性が受診されました。保険診療で認められている検査の結果、視神経疾患であることは判明しましたが、 その原因を明らかにするための遺伝子の検査は保険適応になっておりません。この検査代金を別途に患者さんから請求することは保険診療と 自費診療の混合診療となりますので出来ません。全てを自費診療にするか、遺伝子検査の費用のみ医療機関の自己負担とするかのいずれかを選択しなければなりません。 従来から混合診療を禁止している理由は、『根拠の乏しい保険外診療を受けた患者が不当に高い負担を強いられる恐れがある』ことと、 『医学の進歩に伴い確立した治療法や検査法はその都度保険適応としているので、自費診療をやらなくても十分な医療水準が保たれている』と言う立場でした。 ところが最近は保険医療費削減が最重要課題のため、当然保険適応に導入されるべき治療法や、検査法を保険診療として認めないために、今回の患者さんの例のように 保険診療上由々しき問題が生じています。今回は当院が自費分を負担して患者さんには保険診療で対応しました。小泉首相は、論理を巧みにすり替えて、 保険診療以外に患者さんの同意の下に医師の薦める自費医療を認める混合診療解禁と、この自費診療部分については民間保険会社の医療保険でカバー出来るようにするために 民間企業の医療への参入を解禁をするように、規制改革・民間開放推進会議にはっぱをかけた結果、制限つきながら混合診療が実質解禁となりました。 この先に見えるのは公的保険医療の質の地盤沈下と民間保険を掛けられる健康な金持ち(病弱者は契約困難)のみが保障され、 自費診療部分で利益を追求する民間医療保険会社と一部医療機関の繁栄であり、米国同様『命の沙汰も金次第』となりかねません。 根本解決はエビデンスのある治療、検査を遅滞無く保険適応にすることです。老齢化に伴う医療費増加の中での保険適応は財政的に無理との意見もありますが、 WHOが世界一と評価している日本の医療においてはGDP(国民総生産)に占める総医療費の割合が先進20カ国中18位と低医療費であることを知っておく必要があります。



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