木村眼科クリニック

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院長のコラム


◆糖尿病網膜症の治療◆  ―治療の限界・心の支えについて―


糖尿病網膜症は進行すれば失明にいたる疾患ですが、糖尿病の適切なコントロールを条件として、網膜光凝固、 硝子体手術を施行すればある程度の視力を維持することは可能です。しかし眼科で治療を受けても糖尿病網膜症が 完治することはありません。逆に、糖尿病コントロール不良の場合には、治療後更に進行悪化してしまうこともあります。 その理由は糖尿病は、全身の血管が傷害され閉塞しもろくなる不可逆性・進行性の疾患だからです。 この血管障害が発症するまでには、糖尿病に罹患してから無治療のまま数年~10年を要します。 特に失明頻度の高い増殖型糖尿病網膜症は、ヘモグロビンA1c値が、10以上(正常6以下)の高値が長期間続くと発症します。 この段階では脳梗塞、心筋梗塞、腎不全、下肢の壊死などの他の合併症の危険も高くなっています。 従って糖尿病網膜症が発見されたら糖尿病網膜症に対する眼局所の治療と同時に糖尿病のコントロールが極めて重要となります。 糖尿病の治療には食事療法、運動療法、薬物・インシュリン投与がありますが、食事療法、運動療法の自己管理が基本となります。 しかしこれを日々実践することは多忙な生活に追われている患者さんにとっては至難の業であり、医療関係者、家族、患者同士が 協力し心の支えとなっていく必要があります。特に『指示を守れない患者が悪い』と一方的に患者の精神的負担を無視してきた 私たち医療機関の反省と意識の変革が必要と考えております。



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