木村眼科クリニック

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院長のコラム


◆視覚障害者と介護保険◆  ―問われる介護保険法改正―


これまでの介護保険制度では、緑内障や糖尿病性網膜症のために高度の視機能障害をきたし、 家事や通院困難な独居者、日中独居者に対しては「要支援」が適応され、家事や通院援助サービスが提供されてきました。 しかし今回の介護保険法改正においては、介護保険利用者の50%以上を占める「要支援」、「要介護1」の軽症者の約70%に対して 家事援助サービスを減らし、新たに「予防給付」を導入することにより給付の効率化と保険財源の健全化をめざすとしております。 「予防給付」の論拠は、従来のサービスが心身の状態の改善や悪化防止に役立っていないことを上げております。 「予防給付」の内容は、筋肉トレーニング、栄養改善、口腔機能改善などとなっておりますので、視機能障害者は対象になり得ず、 結果的には介護保険からはずされる可能性があります。しかしこの「予防給付」の論拠には客観性がなく、経費削減目的のための恣意的なデータの操作、 とする指摘もあります。結局今回の改訂の最大の目的は財源削減であり、そのために視覚障害者を含めた利用者の最も多い軽症者の適応範囲が狭められてしまいました。 現に、当院通院中の緑内障末期の患者さんが「要支援」を外されて通院不可能となってしまいました。介護財政の全てを中高年の国民に負担させ、 憲法25条に基づく国民の権利としての公的介護保障の財政義務を果そうとしない国の姿勢が厳しく問われねばならないと思います。



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